『“文学少女”と死にたがりの道化』(67/120)

  • 動機

なんか面白いらしいってのをどこかで聞いた気がしたから。あと平積みにされてて目に付いたから。

  • 感想

「どうかあたしの恋を叶えてください!」何故か文芸部に持ち込まれた依頼。それは、単なる恋文の代筆のはずだったが…。物語を食べちゃうくらい深く愛している“文学少女”天野遠子と、平穏と平凡を愛する、今はただの男子高校生、井上心葉。ふたりの前に紡ぎ出されたのは、人間の心が分からない、孤独な“お化け”の嘆きと絶望の物語だった―。野村美月が贈る新味、口溶け軽めでちょっぴりビターな、ミステリアス学園コメディ

あー、本当なら発売当時に手を出してもおかしくない作品なんですけど、私はヒロインが“文学少女”っていう妖怪だっていう説明を見て、そんな微妙なファンタジー要素なんかいらないよ。あれか、ファミ通文庫だからぺとぺとさんの二番煎じみたくなんでもかんでも妖怪化そてりゃ売れると思ってんのか。いいからおとなしく日常ミステリにしてくださいよ! みたいなことを思って買わずにいたんですけど、今月の電撃の新刊を見つけて買おうとしたら装丁がよくなかったので買えなくて、なんだか何も買わないのも癪なのでてきとうに評判のいいものを買おうと思ったら見つけたので、発売当時よりは丸くなった私は評判に従うままレジにもっていったのです。
で、感想ですけどああいう独り語りをされるととりあえず叙述トリックを疑いたくなるっていうのは悪い癖ですね。主人公がそのまんま独り語り部分なキャラっていうので更にそう思ってしまうっていう。あとツンデレの立ち位置が絶妙だと思います。
続巻用みたいな伏線をはりながらちゃんとストーリーが進んでいったのはいいと思います。トリックってほどのトリックはないけど、そっちを楽しむってよりどっちかというと太宰治さんの小説からの引用とかオマージュとかを楽しむ比率の方が私は多かったです。まぁ私も思えば恥の多い人生を歩んできました。


評判どおり面白かったです。続きもたぶん買います。