『蘆屋家の崩壊 (文庫)』(66/120)

  • 動機

参考にしてるブログでよさそうな紹介をされてたから。あとアッシャー家。

  • 感想

定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌する―。鬼才が彩る妖しの幻想怪奇短篇集。

色んなバリエーションの短編集が詰まってるんですけど、ラブとコメディはたぶん無いです。基本的にホラーとかサスペンス系なので、こうなんか統一された闇鍋みたいな感じ。
個人的には「ケルベロス」と「猫背の女」、あとは「カルキノス」あたりが好きです。特に「ケルベロス」のあのラストが好きです。たまらん。
でも人に薦めるときには「超鼠記」が面白いよ! って満面の笑みで言いますけど。何故かは読むとわかるよ。違った意味でこれも好きです。


あと全編を通して言えるのが、話の間間に入る料理描写のおいしそうなことおいしそうなこと。文章量多くもっちゃり書いてるんじゃなく、少ない情報だけであれだけおいしそうに描写できるっていうのは凄いっていうか、単純にお腹が減ってくるのです。蟹とか私あんまり好きじゃないんですけどちょっと食べたくなったくらいにはおいしそうでした。


短編集を久しぶりに読んだのですが非常に楽しめました。行動の合間合間に読めるので常に2・3ストックを作るのもいいかなぁと思いました。津原さんの他のにも手をだそうと思います。近いところで『ブラバン』かなぁ。

蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)

蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)

『アヒルと鴨のコインロッカー』(65/120)

  • 動機

作家さん買い。伊坂幸太郎さんの作品だから。

  • 感想

引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は?注目の気鋭による清冽なミステリ。

二年前の話と現在の話がクロスして真実とかそういうのが明かされていく、・・・・・・・・・・・・・・ミステリ?かなぁ。まぁミステリ・フロンティアから出てるのでミステリなんじゃないかなぁ。どうもミステリっていう印象が薄いです。


とりあえず河崎はいいキャラしてました。これを読んだあとなるたるを読んだら河崎って鶴丸っぽい考え方してるなぁとかって思いました。ドルジもいい感じだと思います。ソウデスカ。とか。
トリックについては割と簡単なので、ていうかパズラー読み? っていうか自分で謎を解こうとするタイプの読み方をしてしまうのでそこらへんは普通でした。ちょっとだけ陽気なギャングの名前が出てきてニヤリとさせられました。響野かーなつかしいにゃー。


なんにせよ軽快な会話とかは十分楽しめたのでよかったです。

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

『幸福な遊戯』(64/120)

  • 動機

なんで買ったのかもう覚えてないです。買ったのが8ヶ月前なのもありますけど。

  • 感想

ハルオと立人と私。恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」―本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに…。表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。今もっとも注目を集める作家、角田光代の原点がここにある。記念碑的デビュー作、待望の文庫化。

あぁ、上の引用を見て気付いたんですけどデビュー作なんですね、これ。最近角田光代さんの名前を聞いたので買った当時は知らなかったんですけど。


短編が3つ収録されてるんですけど、どれも結構短いです。無愁天使っていうタイトルと3つ目の『銭湯』が好きです。というか『銭湯』で視点になってる人の考えに一番同調できる、っていうだけなんですけどね。
強調して面白かったって言うのとはまた違う感じでしたけど、今まで読んでない感じの話だったので読んでよかったです。

幸福な遊戯 (角川文庫)

幸福な遊戯 (角川文庫)

『レジンキャストミルク』(63/120)

  • 動機

シリーズもので、前から買ってるから。

  • 感想

んんんんー? なんだかここにきて展開を急ぎすぎてるような気が、しないでもないというレベルを超えてる気がしました。一気にそこまで話を進めるのですか?ジャンプなら「あぁもう打ち切りだなぁ」って言いたくなるような展開のしかた。
別にラノベにそこまでの話を求めすぎるのもどうかなぁと思ったので、普段ならそこまで言わないんですけど、このシリーズを読んでる目的の大仰な中二病っぽい虚軸(キャスト)の名前がイマイチピンとこない感じだったので、つい。だって新しいやつが2つしか出てこないんだもんさー。


なんか、つまらないって言うほどじゃないけど、そこまで面白くもなかったです。シリーズものの間の巻なので知らないフリをします。

『底辺女子高生』(62/120)

  • 動機

作家の読書道とかっていうので名前を見て知ったのと、エッセイとかそういうのが元から好きで、しかも文庫なので安かったから。っていうのを人のブログで紹介されてるのを見て思い出したので。

  • 感想

「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです―。「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。盛り下がりまくりの地味な学祭。「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ。

とかそういう感じのエッセイなんですけど、読み終わったころには体内のみぞおちあたりにあるトラウマ袋をがんがん殴られてエクトプラズムまがいのナニカがでろでろ口やら目やら耳やらからも出るわ出るわのトラウマフィーバー。しかも現在進行形で。ing系で。系ってなにさ。


特に卓球の項がタイムリーすぎです。ちょっと調子こいてました。しにます。学祭も家出のところもけっこう被ってて倍々でしにます。方言のところに違和感を感じなかったり、雪国生まれ故の雪の嫌さとか共感してしまってしょうがないのが私なのです。あと「『本当の私』なんて、いません」に泣いた。三日三晩泣いた。泣き虫サクラくらい泣いた。
というか全体的に被ってて読んでると、こう、いたたまれない感じとか過去の光景がもわもわ浮かんできてノスタルジったりとかして。ていうか今感想書こうと思ってパラパラめくっただけで今瀕死です。ここがベランダだったら「永遠に」→携帯投下から自分もダイブの一連の流れを再現しそう。


エッセイ中に結構な枚数の挿絵が入るんですけど、それを豊島さん本人が書いてるらしいのですけど、うまいです。こう、中学生のときにのぞき見たとなりの席の子のノートの片隅に書いてあるラクガキをもっとうまくした感じです。わかり辛い気はするのですが分かる人には一番ぴんとくる表現な気がしたので。これもこれでのすたるじぃ。


まぁとらうまとらうま言ってますけど全体的に楽しめました。エッセイとはやはりいいものじゃわい。でもやっぱり、トラウマがーとーまーらーなーいー♪

底辺女子高生 (幻冬舎文庫)

底辺女子高生 (幻冬舎文庫)

『グラスホッパー』(61/120)

  • 動機

とりあえず伊坂さんだから。あとどこだったかのブログで「成田良悟さん好きにおすすめ」っていうのを見たから。

  • 感想

復讐。功名心。過去の清算。それぞれの思いを抱え、男たちは走る。3人の思いが交錯したとき、運命は大きく動き始める…。クールでファニーな殺し屋たちが奏でる狂想曲。書き下ろし長編。

群像劇?って言ったらいいのかはわかりませんけど、視点が複数の登場人物に切り替わりながらそれぞれのエピソードが折り重なって進んでいく感じ。


鈴木さん以外は全員殺し屋視点で進むんですけど、蜩がチンピラっぽい思考で一番読みやすかったというか共感できたというか。鈴木さんは言動行動がヘタレてるわけじゃないんだけども、なぜかヘタレな人に見えてきてしょうがない気がしました。なんとなくですけど鯨が一番まともなんじゃないかなぁっていう気がしました。たぶん気のせいですけど。
それにしても伊坂さんの小説には「○○いわく〜」とかって言いたがる人が毎回いるっていうのに最近気付きました。ミュージシャン率高めで。


いつもの軽快なやりとりは健在、かなぁ。そんなに伊坂さんの小説を読んでるわけじゃないのでなんとも言えないですけど。
あの終わりかたは、今までの展開からどうしてそうなるのかが結び付けづらい気がしましたが、一応伏線は張ってあったのでいい、のかなぁ。個人的には好きです。たぶんグラスホッパーで一番好きな一文。


ハードカバーの単行本だったんですけど、長さとかはあんまり気にならずにバーっと一気に読めて、話そのものはそんなに明るい話じゃないはずなんですけど楽しかったです。

グラスホッパー

グラスホッパー